スウェーデン方式はどうなったのか? 絶賛した論者の恥ずかしい姿【篁五郎】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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スウェーデン方式はどうなったのか? 絶賛した論者の恥ずかしい姿【篁五郎】

 つまり日本でいえば緊急事態宣言のような飲食店の営業や酒類の提供を規制したり、大勢が集まる集会を人数制限したりせずにできるだけ普段の生活に近い状態で緩やかな自粛で経済の損失をできるだけ最小限度に留め、国民の自主性を尊重し、飲食店の閉店やマスクの義務化をしなかった。

 そしてコロナ対策を病床数確保のため、国は高齢の感染者を集中治療室に入れないよう通達を出した。ただし、医療現場で『命の選別』をしたと批判をされている。

 これは藤井聡教授が宮沢孝幸京都大学准教授らと共に連名で発表した「国民被害の最小化を企図した新型コロナウイルス対策における基本方針の提案」(URL:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/viewer.html?pdfurl=http%3A%2F%2Ftrans.kuciv.kyoto-u.ac.jp%2Fresilience%2Fdocuments%2Fcoronaproposal_policyandpractice.pdf&clen=941837&chunk=true)と非常によく似ている。

 提言書の中には高齢者を「コロナ弱者」と呼び、隔離していくことが掲載されている。しかも「外出時は「目鼻口を触らない」「換気を徹底」「食事中は飛沫に徹底注意(黙る/距離を取るか/発話時にハンカチ等で口を覆う等)」の3点だけに注意することで、感染する/させるリスクを⼤幅に縮減できる」といい、この3点さえ守っていたら「外出はもとより、各種イベントも、宴会、パーティ等も実施可能」と断言している。

 藤井教授がスウェーデン方式に大きく影響されているのは間違いない。しかし、スウェーデンが実際にどうなったかというと、国王が政府のコロナ対策を「失敗」と評するなど迷走。死亡率は人口100万人当たり約1200人と世界有数で、日本の約20倍と明らかな失敗に終わった。

 それが2020年のスウェーデンであったが、今年に入って対策が大きく変わってきた。今では日本同様にロックダウンや厳しい制限はしていない。では、どういった規制をしたのか? それは以下に示しておこう。

 

・できる限りの在宅勤務

・医療従事者の駐車場代無料化

・バスを使わず自転車

・商店の入場制限

・買い物は1人で

・症状があれば自宅待機

・1日症状があればPCRテスト 自宅へデリバリー、ドライブスルーなど症状のある人は外出禁止

 

 しかしマスクの着用は義務化していない。その理由は感染拡大防止に役立たないというよりも、『マスクをすることで慢心し、ソーシャルディスタンスを取らなくなっては本末転倒だ。マスク着用によりどの程度の感染が防げるかは明らかではない。マスクを正しく使うために1日に数回の交換が必要で、貧困層には大きな出費であり不平等が発生する』とスウェーデンの公衆衛生庁は説明している。しかし、2020年12月にはマスクの着用を推奨するに至った。

 上記以外にも3月1日からアルコールを提供しない飲食店とカフェは午後8時30分に閉店、小売店とジムでは店内の人数を制限。ショッピングモール内にある飲食店はテイクアウトのみの営業となり、アマチュアスポーツは休止された。

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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